LIVE REPORT 3.22

 初日と比べると温かく、風も弱かった2日目。空には大きな雲が浮かんでいた。オープニング映像のメンバーの姿が、鈍色のアンドロイド風からカラフルなアニメタッチへと変化していて、その凝り様にまずは驚愕。カプセルから4人が登場すると、「CHASE」のイントロで会場が湧きたった。緻密なリズムをくり出すyukihiro、ロング ジャケットの裾をはためかせ動きまわるken、kenとは逆向きに駆けだすチェック ジャケット姿のtetsuya。白いレースで顔を覆ったhydeが眼光鋭く客席を指差し歌いおえると、勢いのまま「SEVENTH HEAVEN」へ。聖火が点灯した「REVELATION」では、kenとtetsuyaが向きあってプレイする熱い姿に観客が大いに沸いた。空が夕焼け色に染まるなか、「GOOD LUCK MY WAY」「BLESS」と続けたあと、「(建てかえる前の)最後の国立なので、悔いのないように燃えつきたいと思います」(hyde)と決意表明し、「HONEY」へ。続く「winter fall」「NEXUS 4」など新旧シングル曲の連打では、楽曲が宿す不朽の魅力を再認識するとともに、今の4人ならではのグルーヴを感じた。
 サブステージでは、「metropolis」が悲鳴のような歓声で迎えられた。歌いおえたhydeは、プロジェクション マッピングのためにL'ポンチョを着た観客たちを、「たくさんのてるてる坊主がいるから今日は晴れたんやね。ありがとう、みんなのおかげやな」と労う。その後、新国立競技場の完成予想図を絶賛し、「まさに“未来世界”じゃない?」とワクワクした様子で曲へと繋げた。子守唄のようなやさしい歌と、一つひとつ丁寧に放たれる音の重なりが生んだのは、まさしく祈りそのものだった。ピアノ アレンジが施された「花葬」のイントロが奏でられると、会場は赤く染まり、メイン ステージ下方のLEDには花弁が舞いちる。流れるようにつま弾かれるkenのスパニッシュなガットギターが哀切を、漆黒の闇のごときtetsuyaのベースが艶めきを与え、熟成した色香を醸しだしていた。
 合唱ではkenが拳で胸を叩きリズムを取っていた「MY HEART DRAWS A DREAM」、歌いおえる際hydeが雰囲気たっぷりのため息をこぼした「the Fourth Avenue Cafe」と、見せ場に次ぐ見せ場。「X X X」では、切々と訴えかけるような歌声、演奏に没頭する各メンバーの真剣な表情に心を射抜かれた。「shade of season」「DRINK IT DOWN」とyukihiro楽曲をたたみかけ、夜に似合う重厚な空気が立ちあがってくると、新曲「EVERLASTING」へ。「映画音楽のような、“ラルク アン シエルにしかできない曲がいいな”と思ってたんですけど、二十何年やってると言わなくてもわかる。イメージどおりの曲をkenさんが作ってきてくれました」と讃えるhydeに、ピースで応えるken。「すごくいい詞も書けたので、聴いてください」と歌いはじめた。歌を支えるもうひとつの旋律を、かけ合うようにして紡ぐkenとtetsuyaのギター。静かに始まるが、終盤、覚悟を決めたような昂ぶりを見せるyukihiroのドラム。バンド初期のほの暗さを彷彿とさせつつ、今の4人にしか生みだせない世界がそこにはあった。続く「Blame」の歌と演奏からは、潔さ、ピュアさ、そしてふっ切るような爽快感が伝わってきて、圧倒された。
 kenは、新旧の東京オリンピックに触れ、「ふたつの時代を生きてる感じがして」と感慨深げで、取りこわされる国立競技場についても真面目なトークを展開していたが、hydeから「エロやってください」と許可(?)が下りると、活き活きと脱線。爆笑を誘ったあと、「Caress of Venus」へ突入。「Driver's High」ではkenがhydeにかけ寄りイタズラっぽくタッチする場面も。続く「Link」のブレイクでは、tetsuyaが、ライヴ ビューイングで参加中の国内外の観客に「お目見えしてんの~?」と語りかけた。再び曲に戻ると、メンバーも観客もジャンプをくり返し、エンディングを目前に、刹那の楽しさを全身で共有しようとしているように思えた。スタンド席にL'edバンドで“L'Arc~en~Ciel”の文字が映しだされるのを見つめるメンバーたち。「みんなでステージを作ってる感じがして……」とhydeは語り、「生まれかわる前の国立、最後に演奏できて光栄です。完成したかっこいい会場でまたやりたい」「こういう光景を見ると、とてもいいバンドだなと再認識しますね。それまでみなさんついて来てください」と語り、ラストの「あなた」へ。虹色に彩られた光のなかで大合唱すると、やがて無数の風船が放たれ、花火とともに夜空へと飛びたっていった。最後に残ったtetsuyaは「ありがとう! まったねー!」と深くお辞儀し、ステージを去った。
 “WORLD TOUR 2012”のドキュメンタリー映画公開や、本公演の映像化、8月のシングル リリース告知といった、“また逢う”約束を最後に贈り、2日間にわたる公演は終幕。この国立競技場でラルク アン シエルを観ることはもう二度とないという切なさと、生まれ変わった新会場での再会を願う未来への期待――そのふたつが交差する“今”を共有した、かけがえのない時間だった。

  1. CHASE
  2. SEVENTH HEAVEN
  3. REVELATION
  4. GOOD LUCK MY WAY
  5. BLESS
  6. HONEY
  7. winter fall
  8. NEXUS 4
  9. READY STEADY GO
  10. metropolis
  11. 未来世界
  12. 花葬
  13. MY HEART DRAWS A DREAM
  14. the Fourth Avenue Cafe
  15. X X X
  16. shade of season
  17. DRINK IT DOWN
  18. EVERLASTING
  19. Blame
  20. Caress of Venus
  21. Driver's High
  22. Link
  23. あなた

photo by KAZUKO TANAKA
text by TAE OHMAE

3.22 Photo 1