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2024年2月10日(土)
@国立代々木競技場第一体育館
Photo by HIROAKI ISHIKAWA, TAKAYUKI OKADA, TOSHIKAZU OGURUMA, YUKI KAWAMOTO
Text by YUKO HONMA
開催決定のニュースが発表されてから2ヵ月。指折り数えて待ちわびたラルク アン シエルの全国ツアー“ARENA TOUR 2024 UNDERGROUND”が、ついにスタートを切った。チケットは当然のごとく全公演ソールド アウトし、追加公演も発表された。ツアーの口開けとなった東京 国立代々木競技場第一体育館公演3Days、その2日目(ただし、先んじて行われた2月8日の公演はファンクラブ限定だったため、一般公演としては実質初日)となった2月10日もまた全国からファンが集結し、開演前からなんとも晴れやかで賑々しい。なにせ“30th L'Anniversary TOUR”以来、2年2ヵ月ぶりとなるツアー、2022年5月に東京ドームで2日間にわたって行われた“30th L'Anniversary LIVE”以来のライヴとなるのだから、心躍らずにいるほうがむずかしいというものだろう。
場内に足を踏みいれて真っ先に目に飛びこんでくるのが、アリーナ席中央に設えられた円筒状のステージだ。前回のツアー同様、360度回転式のセンター ステージに歓喜のボルテージは急上昇。ステージから十字の形で東西南北に伸びるランウェイも健在で、客席との距離の近さに改めてうれしさが込みあげてくる。前回ツアーでは様々に課せられていたコロナ禍の規制も今やすっかり解除された。何かに遠慮することなく喜びを表現できる空間、客席のあちこちにさざめく楽しげな笑い声が耳になんとも心地いい。

開演時刻を回り、ゆっくりと暗転する場内。雷鳴轟くSEのなか、今回のオフィシャル グッズとして導入された無線制御対応のペンライト“L'ライト”がいっせいに点灯。闇に包まれた空間をカラフルに彩ると、ダーク ファンタジーを彷彿させるオープニング映像がオーディエンスを一気に“UNDERGROUND”なる世界へと引きこんでゆく。アニバーサリーなタイミングではないからこそ、これまであまり披露されてこなかった楽曲たちにスポットを当てたアンダーグラウンドなライヴを作りたいと、それをコンセプトとして今回のツアー タイトルが掲げられた。果たしてどこまでラルク アン シエルの内なる領域に触れることができるのかと期待は膨らむ一方だったが、まさか1曲目にしてあの曲が聴けようとは! 4月まで続くツアーゆえ、曲名などの詳細は明かさずにおくが、イントロが鳴りわたった瞬間、客席から上がった爆発的な歓声のすさまじさはそれがどれだけ驚嘆すべき出来事か、ありありと物語っていた。

古くからラルク アン シエルを応援してきたファンにとっては、サプライズのかたまりみたいなセットリスト。それでいて初見のオーディエンスであってもひとりたりと取りこぼすことなく熱狂の渦に巻きこんでいく並外れた求心力に目を見はらずにはいられない。深みを帯びた低音からどこまでも伸びやかで艶やかなハイトーンまで歌声を自在に操っては楽曲の豊かな表情を全身で体現するhydeの一挙手一投足は観る者をつかんで離さず、kenがつまびくギターの音色はその余韻にまでエモーションを宿して聴く者を揺さぶる。基盤を支えるのみならず力強くも流麗にサウンドを牽引するtetsuyaのベースプレイも、正確無比かつ緩急のコントロールも的確なyukihiroのリズムワークも、どれを取っても超一級。そんな4人の図抜けた技量が、しかもガッチリと噛みあったバンド アンサンブルとなって放たれるのだから、その破壊力たるや。この日のMCでhydeが「どう? 4人揃ってますよ」と冗談めかす場面があったが、たとえ久々の顔合わせだったとしても、ひとたびいっしょに音を出せば、こうして最強のグルーヴを生みだせるラルク アン シエルは、やはりバンドであって、唯一無二だとつくづく思う。

ステージが回転して正面となる向きが変わるため、普段は観られない角度からメンバーの動きをつぶさに観察できるのもセンター ステージの醍醐味だろう。特にドラムは後方に位置するため、通常であればyukihiroのバック ショットを目にする機会などそうないが、センター ステージなら右サイドからも左サイドからも観放題。いっさいの無駄を排除したその緻密なモーションはため息ものの美しさだ。前半戦は聴かせることに重きを置いていたからだろうか、比較的控えめに感じられたフロント陣のパフォーマンスも演奏が進むにつれてみるみると躍動的に。ステージの形状を効果的に使いこなし、全方位にくまなくアピールするhydeの華麗な身のこなしはさすがの一語。率先してランウェイに飛びだしてはオーディエンスと親密なコミュニケーションを楽しんでいたtetsuyaが、ついには客席フロアに降りたって演奏するという大興奮の瞬間もあれば、ランウェイで弾くkenの背後からhydeがその肩を抱き、ギターの音色に歌声を重ねて客席を嬌声に沸かせる一幕も。

「Everybody、sing it!」とhydeがマイクを差しだせば、たちまち起こるシンガロング。曲ごとに色を変えて空間を鮮やかに染めあげるL'ライト。その光のひと粒ひと粒に、今日のライヴはメンバーとこの場にいる1人ひとりとがいっしょになって作りあげているのだなとしみじみ思えて胸が熱くなる。演出のひとつとしてラルク アン シエルに関するクイズが出題されるオーディエンス参加型コーナー、その名も“THE L’ArQuiz”が設けられているところにも彼らにとってのファンの存在がいかにかけがえないものか、うかがい知れるような気がした。決して平坦ではなかったこれまでの道のりを共に歩んでくれた仲間だからこそ、誰より喜んでほしい。そうした思いがラルク アン シエルを動かす大きな力となっているのは間違いないだろう。そもそも“UNDERGROUND”というコンセプトもファンを思う気持ちがなければ生まれなかったかもしれない。「ドL’なメニューでしょう?」とイタズラっぽく声を弾ませたこの日のhydeの言葉にもそれは表れていたように思う。言うまでもないが、“ドL’”とは彼らが親愛を込めて呼ぶラルク アン シエル ファンの総称だ。

それにしても、王道や定番の大半をあえてラインナップから外し、披露する機会の少なかった楽曲を引っぱり出して形を整えていく作業は、メンバーにとっても大いなる挑戦だったことだろう。だが、それは同時に新鮮な刺激をバンドにもたらしたはずだと想像する。『DUNE』『Tierra』『heavenly』といった初期の作品からも複数曲が選ばれ、また、シングル曲の占める比率も全体の5割に満たないチャレンジングなセットリストに、今なおラルク アン シエルの新たな可能性を探究しようとする彼らの強い意志を垣間見てしまうのは筆者だけだろうか。この日のライヴを通じて何より印象的だったのは、そこに鳴っていたものが圧倒的に“今”を感じさせたこと。10数年ぶり、20数年ぶりに披露される楽曲であってもまるで色褪せず、原点回帰的な懐古趣味など微塵も入りこむ余地のない、現在進行形のラルク アン シエルに私たちは心震わされたのだ。なお、今ツアーの演出はtetsuyaが手がけているが、ここにもまた新たな風を感じてやまない。
このツアーを終えたその先に、4人はどんな未来を描くのだろう。回るミラーボールとL’ライトによって織りなされる光に満ち満ちた希望の空間、会場いっぱいの大合唱が響きわたった「ミライ」に、そうした思いがふとよぎる。だが“UNDERGROUND”はまだ始まったばかりだ。各地でくり広げられるドラマとケミストリーにも大いに期待しつつ、レアでマニアックなラルク アン シエルを存分に堪能してほしい。
場内に足を踏みいれて真っ先に目に飛びこんでくるのが、アリーナ席中央に設えられた円筒状のステージだ。前回のツアー同様、360度回転式のセンター ステージに歓喜のボルテージは急上昇。ステージから十字の形で東西南北に伸びるランウェイも健在で、客席との距離の近さに改めてうれしさが込みあげてくる。前回ツアーでは様々に課せられていたコロナ禍の規制も今やすっかり解除された。何かに遠慮することなく喜びを表現できる空間、客席のあちこちにさざめく楽しげな笑い声が耳になんとも心地いい。

開演時刻を回り、ゆっくりと暗転する場内。雷鳴轟くSEのなか、今回のオフィシャル グッズとして導入された無線制御対応のペンライト“L'ライト”がいっせいに点灯。闇に包まれた空間をカラフルに彩ると、ダーク ファンタジーを彷彿させるオープニング映像がオーディエンスを一気に“UNDERGROUND”なる世界へと引きこんでゆく。アニバーサリーなタイミングではないからこそ、これまであまり披露されてこなかった楽曲たちにスポットを当てたアンダーグラウンドなライヴを作りたいと、それをコンセプトとして今回のツアー タイトルが掲げられた。果たしてどこまでラルク アン シエルの内なる領域に触れることができるのかと期待は膨らむ一方だったが、まさか1曲目にしてあの曲が聴けようとは! 4月まで続くツアーゆえ、曲名などの詳細は明かさずにおくが、イントロが鳴りわたった瞬間、客席から上がった爆発的な歓声のすさまじさはそれがどれだけ驚嘆すべき出来事か、ありありと物語っていた。

古くからラルク アン シエルを応援してきたファンにとっては、サプライズのかたまりみたいなセットリスト。それでいて初見のオーディエンスであってもひとりたりと取りこぼすことなく熱狂の渦に巻きこんでいく並外れた求心力に目を見はらずにはいられない。深みを帯びた低音からどこまでも伸びやかで艶やかなハイトーンまで歌声を自在に操っては楽曲の豊かな表情を全身で体現するhydeの一挙手一投足は観る者をつかんで離さず、kenがつまびくギターの音色はその余韻にまでエモーションを宿して聴く者を揺さぶる。基盤を支えるのみならず力強くも流麗にサウンドを牽引するtetsuyaのベースプレイも、正確無比かつ緩急のコントロールも的確なyukihiroのリズムワークも、どれを取っても超一級。そんな4人の図抜けた技量が、しかもガッチリと噛みあったバンド アンサンブルとなって放たれるのだから、その破壊力たるや。この日のMCでhydeが「どう? 4人揃ってますよ」と冗談めかす場面があったが、たとえ久々の顔合わせだったとしても、ひとたびいっしょに音を出せば、こうして最強のグルーヴを生みだせるラルク アン シエルは、やはりバンドであって、唯一無二だとつくづく思う。

ステージが回転して正面となる向きが変わるため、普段は観られない角度からメンバーの動きをつぶさに観察できるのもセンター ステージの醍醐味だろう。特にドラムは後方に位置するため、通常であればyukihiroのバック ショットを目にする機会などそうないが、センター ステージなら右サイドからも左サイドからも観放題。いっさいの無駄を排除したその緻密なモーションはため息ものの美しさだ。前半戦は聴かせることに重きを置いていたからだろうか、比較的控えめに感じられたフロント陣のパフォーマンスも演奏が進むにつれてみるみると躍動的に。ステージの形状を効果的に使いこなし、全方位にくまなくアピールするhydeの華麗な身のこなしはさすがの一語。率先してランウェイに飛びだしてはオーディエンスと親密なコミュニケーションを楽しんでいたtetsuyaが、ついには客席フロアに降りたって演奏するという大興奮の瞬間もあれば、ランウェイで弾くkenの背後からhydeがその肩を抱き、ギターの音色に歌声を重ねて客席を嬌声に沸かせる一幕も。

「Everybody、sing it!」とhydeがマイクを差しだせば、たちまち起こるシンガロング。曲ごとに色を変えて空間を鮮やかに染めあげるL'ライト。その光のひと粒ひと粒に、今日のライヴはメンバーとこの場にいる1人ひとりとがいっしょになって作りあげているのだなとしみじみ思えて胸が熱くなる。演出のひとつとしてラルク アン シエルに関するクイズが出題されるオーディエンス参加型コーナー、その名も“THE L’ArQuiz”が設けられているところにも彼らにとってのファンの存在がいかにかけがえないものか、うかがい知れるような気がした。決して平坦ではなかったこれまでの道のりを共に歩んでくれた仲間だからこそ、誰より喜んでほしい。そうした思いがラルク アン シエルを動かす大きな力となっているのは間違いないだろう。そもそも“UNDERGROUND”というコンセプトもファンを思う気持ちがなければ生まれなかったかもしれない。「ドL’なメニューでしょう?」とイタズラっぽく声を弾ませたこの日のhydeの言葉にもそれは表れていたように思う。言うまでもないが、“ドL’”とは彼らが親愛を込めて呼ぶラルク アン シエル ファンの総称だ。

それにしても、王道や定番の大半をあえてラインナップから外し、披露する機会の少なかった楽曲を引っぱり出して形を整えていく作業は、メンバーにとっても大いなる挑戦だったことだろう。だが、それは同時に新鮮な刺激をバンドにもたらしたはずだと想像する。『DUNE』『Tierra』『heavenly』といった初期の作品からも複数曲が選ばれ、また、シングル曲の占める比率も全体の5割に満たないチャレンジングなセットリストに、今なおラルク アン シエルの新たな可能性を探究しようとする彼らの強い意志を垣間見てしまうのは筆者だけだろうか。この日のライヴを通じて何より印象的だったのは、そこに鳴っていたものが圧倒的に“今”を感じさせたこと。10数年ぶり、20数年ぶりに披露される楽曲であってもまるで色褪せず、原点回帰的な懐古趣味など微塵も入りこむ余地のない、現在進行形のラルク アン シエルに私たちは心震わされたのだ。なお、今ツアーの演出はtetsuyaが手がけているが、ここにもまた新たな風を感じてやまない。
このツアーを終えたその先に、4人はどんな未来を描くのだろう。回るミラーボールとL’ライトによって織りなされる光に満ち満ちた希望の空間、会場いっぱいの大合唱が響きわたった「ミライ」に、そうした思いがふとよぎる。だが“UNDERGROUND”はまだ始まったばかりだ。各地でくり広げられるドラマとケミストリーにも大いに期待しつつ、レアでマニアックなラルク アン シエルを存分に堪能してほしい。