2021年10月3日(日) マリンメッセ福岡A館
Text by AKI ITOPhoto by HIDEAKI IMAMOTO, HIROAKI ISHIKAWA

開演前。センター ステージを紗幕のように囲んだ360度のLED画面に、Twitter企画「#思い出のラルク曲」へ投稿されたメッセージが次々と映しだされていく。それぞれのラルク アン シエルの思い出と共に、この日はたくさんのお祝いメッセージが溢れていた。
“テッちゃん誕生日おめでとう!”“tetsuyaさん、HAPPY BIRTHDAY!”
大阪からスタートした“30th L'Anniversary TOUR”の2ヵ所目、福岡での2Days。その2日目、10月3日はリーダー tetsuyaの誕生日でもあった。
福岡でのライヴは10年ぶり。最初のMCで「10年ぶりにあんなことやこんなことをしちゃいましょう」と言ったhydeは、「みんなの声が聞けないのは残念ですけど、鳴り物があるから。共鳴しあおう。鳴らしあおう」と続けた。観客は、本ツアーのグッズ「バットマラカスライト」を振ってレスポンス。



中盤以降には、hyde、ken、tetsuyaが90度ずつの間隔で作られた4本の花道で観客を盛りあげる。名場面が360度展開されるセンター ステージは、観るほうも非常に忙しい。が、それがひとつの楽しさでもある。ある曲終わりの暗転したステージで花道の先端に移動したkenが、次曲のイントロと同時にスポットライトを浴びた演出には度肝を抜かれた。別々の花道にいたhydeとtetsuyaがある曲のサビでアイ コンタクトもなしに同時に右手を挙げた瞬間にはバンドの歴史を感じた。全方向から観ることができたyukihiroのプレイには、“本当に体の軸が動かないんだなあ”と改めて感動した。アリーナ席から見上げたステージ上部のLEDスクリーンに円形ステージを真上から捉えた映像が映されたときには、スタンド席からはステージを見下ろすことになるのか、と気づかされた。アリーナ席とスタンド席とではまったく違う光景が観られるのも、センター ステージの醍醐味ではないだろうか。




終盤。新曲「FOREVER」のあと、「Happy Birthday to You」と共にケーキが登場。気がつけば、会場の「バットマラカスライト」はイエロー一色に。誰もがMUKIMPOを手にしてtetsuyaの誕生日をお祝いしているよう。tetsuyaといっしょにケーキのロウソクに火をつけながら、「久しぶりの共同作業」とhydeがひと言。hydeの仕切りで記念撮影をしたあとは、巨大なMUKIMPOクッションの登場だ。hyde発案のサプライズだったそうで、「すごい! ありがとう! この子と今日は寝ようかな」とMUKIMPOを抱き枕のように抱えるtetsuya。kenは頭上で拍手をし、yukihiroは笑顔でその様子を眺めている。tetsuyaは最後にこうまとめた。

「メンバーのみなさん、スタッフのみなさん、会場のみなさん、ありがとう。30年……これからもみんなと共に歳を重ねていきたいと思ってます」
客席の共鳴がいっそう大きくなる。「これからもよろしくお願いします」というtetsuyaの言葉を受け、「STAY AWAY」ほか、数曲を披露。フィナーレを飾った「あなた」で明るくなる客席。ゆっくり揺れる人。頷くようにリズムをとる人。もちろん全員がマスクを着用、声は出していない。目元だけしか見えなくても、「あなた」を歌ういつもどおりの表情がうかがえた。ラルク アン シエルと“あなた”とで育んできた「あなた」という曲の作りだす風景が、会場に浮かびあがっていた。