2021年12月25日(土) 国立代々木競技場第一体育館
Text by TAE OMAEPhoto by HIROAKI ISHIKAWA, TAKAYUKI OKADA, YUKI KAWAMOTO
バットマラカスライトで赤や緑を灯し、クリスマスらしい光の配色で客席を彩りながら待ちかねていたオーディエンス。オープニング映像が流れると、会場のムードは一変。深紅の液体が沸点を迎えた瞬間、白く凍った世界へ。黒い人影が手のひらをぶつけて頭を突きだし、叩きわられた破片が宙に舞う光のイメージ。センター ステージを覆う円柱状LEDの奥にhyde、ken、tetsuya、yukihiroの姿が見える。「get out from the shell」へと繋がる緊迫感に満ちた演出に息をのんだ。「Caress of Venus」では、環状のステージ外周が回転しはじめアミューズメント パークのようなムードに。「昨年(2020年)は予定されていた代々木公演ができませんでしたが、今日はどうでしょうか? (会場のキャパシティの)100パーセント入っております」と感無量な様子のhyde。2020年1月に始まった“ARENA TOUR MMXX”はコロナ禍で同年2月に中断。国立代々木競技場第一体育館でのライヴは幻となった経緯がある。また、この日とツアー最終日となる26日はLIVE VIEWINGによる生中継(※後日ディレイ上映も実施)のため、メンバーは全国各地の映画館で見守るファンに向けてもアピールした。

「X X X」はピンクや紫の光に包まれてセクシーかつ凛々しく、「winter fall」は寒色系の世界で軽やかに。照明の演出とバットマラカスライトの色で織りなす光景は、曲調の幅広さと、それを受けとめるファンの美意識の高さを示す。ラルク アン シエル固有の現象だ。「flower」では、ハーモニカ演奏とバットマラカスライトの音とでコール&レスポンス。「metropolis」では、気だるい色気を放つ。嵐の海を映しだした「DAYBREAK'S BELL」では、ステージがまるで風に逆らって進もうとする難破船の甲板のように見えてくる。シリアスな空気感は、台に上がったtetsuyaがダイナミックに鳴らす歪んだベースソロで霧散。「STAY AWAY」へとなだれ込むとパワフルなロックンロールを鳴らした。ステージは内側の円も回転しだしていて、「NEO UNIVERSE」が始まる頃には正面の方位を変更。アウトロのエレクトロニックなビートは変調を遂げ、「CHASE」にドッキング。デジタルをしのぐほどの驚異的な緻密さでリズムをくり出すyukihiro。対照的に、野生を解きはなつようにギターリフをかき鳴らすken。tetsuyaのハイトーン コーラスはシャープで正確。hydeは這いつくばるようなアクションでカメラに接近。ただヒット曲を羅列するだけではなく、曲のイメージを連鎖させ、さり気なく紡いでいく巧みなセットリストだった。

トーチに囲まれて「花葬」がスタート。魔物と精霊とを一音ごとに行き来するかのようなhydeの歌声、演奏の緩急に絶句。花びらが舞うイメージ映像がたとえなかったとしても、4人の鳴らす音だけで、聴き手はその情景を想起することができただろう。更に「EVERLASTING」を畳みかけると、雨と濃霧の立ちこめる異世界が出現。エッフェル塔を象ったギターでtetsuyaが紡ぐフレーズに、kenのギターが呼応するように鳴りひびく。雨音を残したままゆっくりと回転しだしたステージのソファで脚を組み、物悲しいメロディを爪弾きはじめるken。やがてキーがメジャーへと転じると、光の兆しを帯びたフレーズへ。次曲は「MY HEART DRAWS A DREAM」である。コロナ禍以前にはファンが合唱していたパートは、ハミングで代用。yukihiroが刻む最小限のハイハットとピアノを伴奏に、hydeはイヤーモニターを外してハミングに耳を澄ます。tetsuyaは台に立つと真うしろを向き、背を向ける方位にあたるファンの存在を気遣った。
MCタイムでは、バットマラカスライトの色でファンが答える、本ツアー恒例のクイズを展開。和やかな雰囲気のまま「Hurry Xmas」を披露した。「Driver's High」では冒頭で特効が爆ぜ、怒涛のラスト スパート。「HONEY」ではkenが花道の先で仁王立ちになり、メイン ステージのhydeをめがけてコーラス。tetsuyaはドラムの正面に立ち、yukihiroのほうを向いてプレイ。また、ギターソロではkenがtetsuyaと、hydeがyukihiroと対面。4人の姿が一列に並ぶ光景が眩しく感動的だった。「READY STEADY GO」では高速回転する外周にhydeとtetsuyaが乗り、大胆にパフォーマンス。最後は、yukihiroがステージ上にひとり残って、孤高のドラミングを披露。打音に稲光を幻視するような、短くも圧巻のプレイだった。

ブレイク タイムには、“マスク姿の女子高校生が、ラルク アン シエルが産声を上げた大阪のライヴハウス(難波ROCKETS)を訪れる”というイメージ映像が上映された。そして、「ミライ」でライヴ再開。ミラーボールと虹色の照明、そしてファンが灯したスマートフォンのライトが暗闇にスペクタクルな光景を描きだしていく。hydeは、「コンサートのこの星空をイメージして、“寂しくなんかないんだよ”ってことを言いたかった曲です」とコロナ禍の作曲背景を明かした。「FOREVER」では、“ファンのウェーブがきれいに一周したら曲をスタートする”という本ツアー恒例の条件提示を。一度で揃ったが3人は演奏を始めず、hydeは「今のはこちら側のミスみたいです(笑)」と謝罪。「せっかくジャンプしてたのにね。上手だったよ、みんな。さすがドL'!」とファンを讃えると、kenも同意するように拍手。2周目の動向をtetsuyaは手をかざして見守った。一連のやりとりも楽しく、結成30周年にしてこのムードを共有できていることが尊く思える。

ピンスポットに射られながらkenがくり出したリフは、「As if in a dream」のイントロ。熟練した歌と演奏は、曲の宿す瑞々しさを損なうことなく、むしろ輪郭をハッキリとさせていた。「Link」ではhydeの背後にtetsuyaが近づいて、一瞬驚いた顔を見せたhydeがtetsuyaの肩に手を回しふたりでパフォーマンスする場面も。「新曲(「FOREVER」)から「As if in a dream」の流れ、30年の歴史が変わる瞬間なんですけど。“昔からいい曲やってるなあ”と思いながら……今でも演奏が始まるとときめくというかね」と、hydeは自らの感情に驚くかのように目を輝かせた。コロナ禍の制約の数々にも言及し、「バナナも投げられないしね」と苦笑するhydeに、tetsuyaはマイクを通さずに口を動かして笑っていた。「これもいいんじゃないの? くらいの気持ちにも……もちろん声援は欲しいんだけど、気持ちは伝わるし。笑顔で演奏させてくれてありがとうございます」とhydeが感謝を述べると、メンバーも拍手を重ねた。

前述したように、コロナ禍で中断を余儀なくされた前回のツアー。「一つひとつ、みんなで勝ちとったリベンジの席だと思います」とhyde。「最後は虹(ラルク アン シエル)で、「虹」を奏でたいと思います」との紹介から曲をスタート。まばゆい銀の紙吹雪のなか、徐々にテンポを落とし、全員で顔を見あわせて音を止めたラスト。hydeとハイタッチと握手をしたあと、最後まで残って「ありがとう、まった明日ねー! メリークリスマース!」とtetsuyaはあいさつ。ツアーは残すところあと1公演、無事にゴールを迎えようとしていた。

02. Caress of Venus
03. X X X
04. winter fall
05. flower
06. metropolis
07. DAYBREAK'S BELL
08. STAY AWAY
09. NEO UNIVERSE
10. CHASE
11. 花葬
12. EVERLASTING
13. MY HEART DRAWS A DREAM
14. Hurry Xmas
15. Driver's High
16. HONEY
17. READY STEADY GO
18. ミライ
19. FOREVER
20. As if in a dream
21. Link
22. 虹

「X X X」はピンクや紫の光に包まれてセクシーかつ凛々しく、「winter fall」は寒色系の世界で軽やかに。照明の演出とバットマラカスライトの色で織りなす光景は、曲調の幅広さと、それを受けとめるファンの美意識の高さを示す。ラルク アン シエル固有の現象だ。「flower」では、ハーモニカ演奏とバットマラカスライトの音とでコール&レスポンス。「metropolis」では、気だるい色気を放つ。嵐の海を映しだした「DAYBREAK'S BELL」では、ステージがまるで風に逆らって進もうとする難破船の甲板のように見えてくる。シリアスな空気感は、台に上がったtetsuyaがダイナミックに鳴らす歪んだベースソロで霧散。「STAY AWAY」へとなだれ込むとパワフルなロックンロールを鳴らした。ステージは内側の円も回転しだしていて、「NEO UNIVERSE」が始まる頃には正面の方位を変更。アウトロのエレクトロニックなビートは変調を遂げ、「CHASE」にドッキング。デジタルをしのぐほどの驚異的な緻密さでリズムをくり出すyukihiro。対照的に、野生を解きはなつようにギターリフをかき鳴らすken。tetsuyaのハイトーン コーラスはシャープで正確。hydeは這いつくばるようなアクションでカメラに接近。ただヒット曲を羅列するだけではなく、曲のイメージを連鎖させ、さり気なく紡いでいく巧みなセットリストだった。

トーチに囲まれて「花葬」がスタート。魔物と精霊とを一音ごとに行き来するかのようなhydeの歌声、演奏の緩急に絶句。花びらが舞うイメージ映像がたとえなかったとしても、4人の鳴らす音だけで、聴き手はその情景を想起することができただろう。更に「EVERLASTING」を畳みかけると、雨と濃霧の立ちこめる異世界が出現。エッフェル塔を象ったギターでtetsuyaが紡ぐフレーズに、kenのギターが呼応するように鳴りひびく。雨音を残したままゆっくりと回転しだしたステージのソファで脚を組み、物悲しいメロディを爪弾きはじめるken。やがてキーがメジャーへと転じると、光の兆しを帯びたフレーズへ。次曲は「MY HEART DRAWS A DREAM」である。コロナ禍以前にはファンが合唱していたパートは、ハミングで代用。yukihiroが刻む最小限のハイハットとピアノを伴奏に、hydeはイヤーモニターを外してハミングに耳を澄ます。tetsuyaは台に立つと真うしろを向き、背を向ける方位にあたるファンの存在を気遣った。
MCタイムでは、バットマラカスライトの色でファンが答える、本ツアー恒例のクイズを展開。和やかな雰囲気のまま「Hurry Xmas」を披露した。「Driver's High」では冒頭で特効が爆ぜ、怒涛のラスト スパート。「HONEY」ではkenが花道の先で仁王立ちになり、メイン ステージのhydeをめがけてコーラス。tetsuyaはドラムの正面に立ち、yukihiroのほうを向いてプレイ。また、ギターソロではkenがtetsuyaと、hydeがyukihiroと対面。4人の姿が一列に並ぶ光景が眩しく感動的だった。「READY STEADY GO」では高速回転する外周にhydeとtetsuyaが乗り、大胆にパフォーマンス。最後は、yukihiroがステージ上にひとり残って、孤高のドラミングを披露。打音に稲光を幻視するような、短くも圧巻のプレイだった。

ブレイク タイムには、“マスク姿の女子高校生が、ラルク アン シエルが産声を上げた大阪のライヴハウス(難波ROCKETS)を訪れる”というイメージ映像が上映された。そして、「ミライ」でライヴ再開。ミラーボールと虹色の照明、そしてファンが灯したスマートフォンのライトが暗闇にスペクタクルな光景を描きだしていく。hydeは、「コンサートのこの星空をイメージして、“寂しくなんかないんだよ”ってことを言いたかった曲です」とコロナ禍の作曲背景を明かした。「FOREVER」では、“ファンのウェーブがきれいに一周したら曲をスタートする”という本ツアー恒例の条件提示を。一度で揃ったが3人は演奏を始めず、hydeは「今のはこちら側のミスみたいです(笑)」と謝罪。「せっかくジャンプしてたのにね。上手だったよ、みんな。さすがドL'!」とファンを讃えると、kenも同意するように拍手。2周目の動向をtetsuyaは手をかざして見守った。一連のやりとりも楽しく、結成30周年にしてこのムードを共有できていることが尊く思える。

ピンスポットに射られながらkenがくり出したリフは、「As if in a dream」のイントロ。熟練した歌と演奏は、曲の宿す瑞々しさを損なうことなく、むしろ輪郭をハッキリとさせていた。「Link」ではhydeの背後にtetsuyaが近づいて、一瞬驚いた顔を見せたhydeがtetsuyaの肩に手を回しふたりでパフォーマンスする場面も。「新曲(「FOREVER」)から「As if in a dream」の流れ、30年の歴史が変わる瞬間なんですけど。“昔からいい曲やってるなあ”と思いながら……今でも演奏が始まるとときめくというかね」と、hydeは自らの感情に驚くかのように目を輝かせた。コロナ禍の制約の数々にも言及し、「バナナも投げられないしね」と苦笑するhydeに、tetsuyaはマイクを通さずに口を動かして笑っていた。「これもいいんじゃないの? くらいの気持ちにも……もちろん声援は欲しいんだけど、気持ちは伝わるし。笑顔で演奏させてくれてありがとうございます」とhydeが感謝を述べると、メンバーも拍手を重ねた。

前述したように、コロナ禍で中断を余儀なくされた前回のツアー。「一つひとつ、みんなで勝ちとったリベンジの席だと思います」とhyde。「最後は虹(ラルク アン シエル)で、「虹」を奏でたいと思います」との紹介から曲をスタート。まばゆい銀の紙吹雪のなか、徐々にテンポを落とし、全員で顔を見あわせて音を止めたラスト。hydeとハイタッチと握手をしたあと、最後まで残って「ありがとう、まった明日ねー! メリークリスマース!」とtetsuyaはあいさつ。ツアーは残すところあと1公演、無事にゴールを迎えようとしていた。

SETLIST
01. get out from the shell02. Caress of Venus
03. X X X
04. winter fall
05. flower
06. metropolis
07. DAYBREAK'S BELL
08. STAY AWAY
09. NEO UNIVERSE
10. CHASE
11. 花葬
12. EVERLASTING
13. MY HEART DRAWS A DREAM
14. Hurry Xmas
15. Driver's High
16. HONEY
17. READY STEADY GO
18. ミライ
19. FOREVER
20. As if in a dream
21. Link
22. 虹