REPORT

2018/12/19(WED)
Text by TAE OHMAE
Photo by CHIE KATO, HIDEAKI IMAMOTO,
KAZUKO TANAKA, TAKAYUKI OKADA, TOSHIKAZU OGURUMA

1年8ヵ月ぶりのライヴとなった、L'Arc~en~Ciel“LIVE 2018 L'ArChristmas”初日。白銀の世界を舞台にしたオープニング映像のラスト、氷に閉じこめられたメンバーが冬眠から目覚めるかのように瞳を開くと、ポップアップでステージに登場。1曲目の「winter fall」を歌い奏でる4人の姿が、巨大スクリーンに映しだされる。続く「Caress of Venus」では、「東京ドーム!」というhydeの叫びを合図に明るいライティングに切りかわり、オーディエンスは思いおもいに身を揺らす。そうして熱を帯びたところへ放ったのは、「snow drop」。降りそそぐ雪の美しさと、それを見つめて高鳴る鼓動。その両方を感じとれる瑞々しい表現に、引きこまれた。

「4人揃ってる。これはすでに、クリスマスの奇跡が起こっているということではないのか。平成最後のラルク アン シエルを最後までいっしょに楽しもうぜ!」と、hydeがあいさつ。「こんな師走の平日にいらっしゃるみなさんは、かなりのマニアとお見受けしました」とファンを評し、「久しぶりの曲も少し用意させてもらいましたので」と期待を煽った。この言葉どおり、20数年ぶりの披露となる楽曲群も含め、のちに語りつがれるであろう特別なセットリストを展開していくことになる。

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バンクーバー冬季五輪のNHK公式テーマソングとして書きおろされた「BLESS」では、心をこめたていねいな歌と演奏を紡いでいく。選手が試合に向けて努力を重ねる道程そのものを祝福する温かさが、一音一音から伝わってくるようだった。この直後、「接吻」では退廃的でダーティ、妖気を放つロックンロール バンドへと豹変。度肝を抜いた。緑色のレーザー光線が会場を照射するなか始まったのは、「fate」。極寒の地で肌を刺すような冷気、抑えようとしても溢れてしまう想い。緻密に織りかさねられていくアンサンブルが、そんな緊迫感と激情をかたどっていく。たかぶったエモーションは、次曲「Dearest Love」にひき継がれ、頂点へ。吐息を含んだ声色をアクセントとしながら切々と歌うhydeと、驚異的なハイトーン コーラスをくり出すtetsuya。燃えさかる炎が、氷と雪で構成された無色透明な世界を赤く染めあげていく様は、圧巻だった。

kenのつま弾く浮遊感あるギターソロに合わせ、白いトナカイがスクリーンに姿を現し、やがてスタートしたのは「MY HEART DRAWS A DREAM」。センター ステージへ移動したhydeは演奏を制止し、yukihiroが刻むリズムに合わせて観客の歌声を求めた。「Hurry Xmas」ではhydeがtetsuyaに接近して肩を抱き、その手をtetsuyaがつつく、というやり取りに歓喜の悲鳴が上がった。ステージにはLEDのツリーが出現し、クリスマス パーティのムードはピークに。すると、エンジン音が響いて「Driver's High」が始まり、火柱が盛んに噴出。“Clash!”“Flash!”と映しだされる文字に合わせ観客は歌い、ジャンプする。そのまま「DIVE TO BLUE」へとなだれこむと、メロディアスなヴォーカル ラインはもちろん、演奏も歌っているようになめらかに響かせた。

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ソリに乗ったサンタクロースたちがプレゼントを配る、という演出で会場を盛りあげたあと、メンバーはセンター ステージへ。サンタクロース集団に紛れ、サンタクロースの衣装で現れたhydeに、歓声が沸いた。「クリスマスっぽくアレンジしました」というhydeの言葉から、ken、tetsuyaがハーモニーを響かすコーラスに乗せて、hydeがアカペラで「未来世界」を歌いはじめた。バンド全体で温かみのある音を重ねていき、歌詞に「メリークリスマス」と盛りこむと、L'Arc~en~Ciel“LIVE 2018 L'ArChristmas”でしか聴くことのできない特別なバージョンを届けていく。続いて「静かの海で」が披露されたことに驚き、サイケデリックで美しい演出にはため息が漏れた。L'edバンドが一面青の世界を生みだし、月面から望む青い地球の映像に“feel heavenly…”の合唱が重なって、荘厳な美しさに包みこまれていったのだ。「trick」では全員がギターを持ち、tetsuya、yukihiro、kenの順でヴォーカルを担い、スライディング ステージで移動しながらパフォーマンス。メイン ステージに到達し横1列に並ぶと、最後にhydeがマイクをとる。一連の華麗な魅せ方に、歓声が止まなかった。

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興奮冷めやらぬなか「X X X」を放ち、今度は匂いたつような艶めかしさで魅了。「Wings Flap」はダンサブルに、しかし一般的なダンス ミュージックとはまったく異なる不可思議なグルーヴで聴き手を吸引し、ラルク アン シエルというバンドの独自性を痛感させた。カラフルな巨大風船が客席に弾んだ「Link」では、メンバーも観客もジャンプして朗らかに。「案外クリスマスっぽいなあと思って選びました」とhydeが言った「White Feathers」では、ステージに羽根が舞いふり、神秘的な空気で会場を満たした。hydeが清らかなハイトーンでフェイクを聴かせたあと、メンバーは呼吸を合わせて音を止めた。彼らの音楽によって心に描きだされた情景は、その後も消えることはなかった。

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サンタクロースがウェーブを先導して会場を温めたのち、最新シングル「Don't be Afraid」でメンバーが華々しく再登場。MCでは「初めてのクリスマス ライヴらしいですよ。初めてって感じせえへんよね?」とtetsuya。その言葉どおり、続く「twinkle,twinkle」のきらめきも、hydeのアカペラから始まってファンとの楽しげな合唱に発展した「I Wish」も、あまりにもクリスマスに似合っていた。「クリスマスをテーマにしたライヴ、そんなにしょっちゅうやれないんじゃないかなと思ってるんで。珍しいライヴだったと思います。楽しかったです。みんなニコニコしてくれるね。なんかこっちがプレゼントもらったような気分になっちゃう……ってことは、みなさんもサンタクロースになれたってことですね。いつでも誰かのサンタクロースになってあげてください」と愛に溢れる言葉を放ったhyde。最後に届けたのは、「雪の足跡」。ステージには雪、客席には紙吹雪が舞いちっていた。冬の寒さ、氷の冷たさと、だからこそ感じられる温もり。一見対比的なそれらを総合的に表現し、体感させてくれるステージは、細部から全体に至るまで、ラルク アン シエルの美意識に貫かれていた。

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