2018/12/20(THU)
Text by TAE OHMAE
Photo by CHIE KATO, HIDEAKI IMAMOTO,
KAZUKO TANAKA, TAKAYUKI OKADA, TOSHIKAZU OGURUMA
ステージ上で大きな枝を広げる白い樹とクリスタルのオブジェは、暗闇でほんのりと光を放ち、雪降る夜空のシンとした佇まいを感じさせる。「L'ArChristmasへようこそ! 1年8ヵ月ぶりに揃いましたね」とメンバーを見わたしたhydeは、「トランプだったらかなり強い手だと思うんですよね」と笑った。「BLESS」は初日に比べ、演奏がよりいっそうエモーショナルなものに思われた。「接吻」ではそういった情緒を遮断するかのように、サングラスをして凄みの効いたヴォーカルを聴かせるhyde。tetsuyaは、地面とほぼ垂直にネックを立ててベースを抱きよせるようにプレイ。そこには数分前とまったく違う表情の、荒々しく牙を剥くロックバンドの姿があった。「fate」では、規律正しいクールなプレイで譜面上の差異はなくとも、次第に熱を帯びていったように感じたyukihiroのドラミング、乱れ弾くkenのギターソロも圧巻で、全員がそれぞれに曲の世界に没入。近寄りがたい凄みを感じさせた。続く「Dearest Love」では、身を焦がすほどの情熱を炎や赤いライトで表象。身をよじらせるようにして歌うhydeの迫真のヴォーカル、その1オクターブ下の低音とハイトーンの双方を歌いこなしたtetsuyaのコーラス。息をのみ、まばたきするのを忘れる一曲だった。
色とりどりに輝くクリスタルと純白のトナカイの映像を背にkenが奏でたギターソロは、言葉になる前の想いをそのまま音にしたような、あるいは、抽象画のような味わい深さ。それは「MY HEART DRAWS A DREAM」へと繋がり、hydeは穏やかに語りかけるように歌唱した。ふたつのツリーが点灯し、hydeとtetsuyaのアカペラで始まった「Hurry Xmas」では、L'edバンドの光が赤と緑のクリスマス カラーに染まった。続く「Driver's High」ではエンジン音が轟き、yukihiroの踏みならすキック音が体にズッシリと響いてくる。火薬の破裂音や火柱といった特効も盛大で、大いに盛りあがった。「DIVE TO BLUE」では大きな風船が客席を転がり、やがて弾けて小さな風船が飛びだして、カラフルな光景に。曲間、kenがhydeめがけて突進し、じゃれ合うような場面もあって微笑ましかった。
センター ステージに上ってくるサンタクロース集団のなかに、サンタクロースの帽子をかぶったhydeの姿が。続いて披露した「未来世界」では、hydeの声にkenとtetsuyaのコーラスがより添い、誰かの未来の幸せを願う子守歌のようなやさしさで、心に明かりを灯した。スペイシーなSEが鳴りひびき「静かの海で」が始まると、スクリーンには宇宙が広がりメンバーの姿がオーバーラップして投射されていく。中盤、yukihiroのハイハット シンバルのみに合わせて“feel heavenly…”と観客がコーラス。やがて全体での演奏に戻り、厚いコーラスに支えられながら続けた歌と演奏は、教会で祈りを捧げるかのように厳かで神秘的だった。「trick」への移行も鮮やかで、宇宙と地上との交信を、インダストリアルなSEに乗せた音声と字幕で表現。メンバーが順に着陸(landed)したことを告げたあと、スライディング ステージでアリーナを横断しながらプレイ。4人でギターを奏でながら順にヴォーカルをとっていき、オーディエンスを大熱狂させた。かと思えば、「X X X」では物憂げなムードを醸しだす。気がつくと、まるで背徳的な秘めごとを覗き見したかのような高揚感に包まれていた。続く「Wings Flap」は、複雑な作りであることを悟らせないなめらかな歌と演奏で、行き先のわからない夜間飛行に連れだされたようなトリップ感をもたらす。そんな非現実的な異空間をさまよっていた心を「Link」でグッと引きもどすと、銀テープが噴出。明るさのなかに、いよいよ別れの時が迫っているのを感じた。続いて届けたのは「White Feathers」。降ってくる羽根を見あげながら祈るように歌うhydeの眼差しは、天井を突きぬけた遥かな空を感じさせた。
サンタクロースがウェーブを仕かけ会場を盛りあげたあと、ブルーのレーザーが放たれると、「Don't be Afraid」で4人が再登場。熱を帯びた歌と演奏に瞬く間に惹きつけられる。サンタクロースの衣装を着た観客を目にとめたtetsuyaは、「みんな知ってる?サンタがなんで赤いか知ってる?」と質問。「hyde、知ってた?」「もちろんですよ!」とメンバー間でも会話しながら、「元々はなんかいろんな色のサンタさんがいたみたいで。赤がこれだけ定着したのはコカコーラのキャンペーン的な」となどと語り、ファンとの対話を図った。「twinkle,twinkle」では、hydeが手をウェーブさせると観客もそれにならってウェーブし、会場全体が大きなうねりに身を委ねてリラックス ムードに。「I Wish」ではオーディエンスのコーラスが重なり、圧倒的な多幸感に包まれていく。
「朝起きたら声が出なくて、さっきまでハラハラしていて。いろんな人に助けてもらって。メンバーにも助けてもらったし……」と思いがけない告白をし、安堵と喜びの入りまじった表情を浮かべながら感謝を伝えたhyde。「みんなが笑顔になるのが楽しいから、サンタクロースの気持ちがわかりました」と続け、ファンへの愛を溢れさせた。
「クリスマスということで、神様っているのかな?って考えてみました。信じるとか信じないじゃなくて、今日僕たちがこうやって出会えた奇跡。そして愛しあった時間。これは確かに存在していた。とても重要なことだと思います。導いてくれたこの日に感謝します」
hydeがそう語ったとき、客席にはL'edバンドの光で「L'ArChristmas」の文字が浮かびあがっていた。「雪の足跡」でhydeは渾身の力をふり絞るようにして歌い、メンバーはそっとより添うように音とコーラスで支える。「Silent Night」のフレーズを引用して締めくくった。最後までステージに残ったtetsuyaはバナナを客席に投げいれ、「ありがとう! まったねー!」と再会を約束した。
クリスマスをコンセプトに冬の楽曲群を中心に据えながら、それにとどまらず、イメージの多彩さ、表現の幅で驚かせ魅了したL'Arc~en~Ciel“LIVE 2018 L'ArChristmas”。魔法にかけられたようなあの時間を、また味わいたいと願ってやまない。
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